夕飯の魚を釣るために川沿いを歩いていた。 
もう半分ほど諦めの混ざってしまった俺は、川に何がいても驚かないようにしていたが、最近は川で鮭がよく釣れる。 
ドラドと共存できるのか知らないが、深く考えないことにするが、晩飯には悪くない。 
こんな村なのにいつになくのんびり歩いていたら、不意に足下の地面が崩れた。 
何だ!?と思う間もなく、陥没した地面の穴にずぼっと落ちる俺の体。 
何だ。落とし穴!? 
しまった。油断していた。誰が何のために仕掛けたんだろうか。 
誰かが即座に近寄ってくるような気配はしなかったが、ずっとここにはまっていてはどうなってしまうことやらわからない。
俺は思いきり身をよじって落とし穴から這い上がろうとした。 

しばらくじたばたしていると、上空から不意に聞き覚えのない奇妙な音が響いてきた。 
奇妙な音の恐怖に襲われて、穴にはまったままおそるおそる上空を見上げる。その途端俺は一瞬めまいを感じた。 
嗚呼、なんてこった、幻の存在と思っていたUFOをこの目で見ることになるなんて! 
この落とし穴も宇宙人の策略なのか?
あのUFOの下の部分から、いつか見たSF映画のようにビームか何かが出てきて、俺を宇宙に連れていってしまうのだろうか。 
畜生、そんなことになってたまるか!! 
俺は地面に腕をついて思いきり体を持ち上げた。ずぼっと体が落とし穴から抜け出す。
それが見えたのか、UFOは俺の頭の上を素通りし、空の彼方へ消えていった。 

UFOの去っていった方角を見ながら、俺はとりあえず安堵の息をついた。 
油断ができない。この村にはまだまだ俺の知らない危険が残っているようだった。 







■TOP