「何でなの…」 風が髪をすり抜ける。芝の良い匂いが鼻をすっと通る。 ―――なんて気持ち良いんだろう…。 だけど皮肉だね。 君はもうここには居ないんだもん…スパーク。 ―― ――― ―――― きっかけはほんの些細な事だった。僕の友達、いや…親友というのかな? とにかく僕にとって無二の存在、スパークはある決心を立てていた。 「俺、隣村でデッカクなろうと思ってんだ!」 僕は正直―――ショックじゃなかったと言えば嘘になる。 彼にはそれこそ、生涯かけても手に入れる事が出来ないような『幸せ』を沢山貰っていた。 そんな彼がこの村を――僕の元を去ってしまうという現実がたまらなく寂しかった。 「なーに、また会えるだろ?」 そう言った君の顔は、とても輝いていてそして―――悲しみが滲出ていた…。 結局彼は、行く事にした。 僕も彼の夢を壊したくは無く、最後くらいは笑顔で――――と努めてみた。 そして彼との『最後』の時間はあっという間に過ぎ、今日は別れた。 『また明日会おう』 と互いに言葉を交わし…。
と互いに言葉を交わし…たと思った瞬間。 僕の視界が真っ赤になった。 僕は小さい頃(この話は後で話そう)の出来事がきっかけで赤いものが 苦手になっている。気が遠くなっていく…。 目を覚ますと床の上にいた。頭がいたい。 隣にスパークが鼻血を出して倒れているのを見た。 モグラが僕にごちゃごちゃと文句を言い始めた…。 ■TOP