僕は夜一人、雪の積もった中を歩いていた。とても静かだ僕が雪を踏む音と川が流れる音だけが聞こえる。 ─「グー…」─ 突然、奇妙な音が耳に飛び込んできた。周りを見渡すが、誰もいない。するとまた ─「グー…」─ あの音がする。 僕は耳を澄ましながら音の正体を探る。 ─「…グー…」─ どうやら音は地面の下からするようだ。僕はスコップを握り締め、地面を掘り始めた。 「ザクッ…ザクッ…」 掘る度に「あの音」が大きくなってゆく。僕の心は恐怖と妙な期待感とでごちゃごちゃになっていた。 そして…数分後…ついに僕はその音の正体を掘り当ててしまった。 『─これは何だ?』 僕が始めてみた謎の音の正体はあの音を立てながらガサガサと不気味に蠢いている。 固まっていた僕がはっ、と気付くとその不気味な蠢くものは川へ落ちて流れて行ってしまった。 いったいアレはなんだったのだろう?僕の新たな疑問を残したまま夜は静かに明けていった─。 ■TOP