私はこの村に来てから既に58年が経過している。 

…だが、幾ら時間が立っても、私の身体が老いる事は無かった。 

この村は時間が立っていると思っていたがそうじゃなかった。 

時間ではなく、ただ空が回っていただけなのだ。 
私は、死ねるのか? 
肉体は子供のままでも精神は既に老人の考えである。 

私だけでは無い。他の住民もそうなのだ。 

55年滞在している、アンヌやたまも見た目が変わる事が無い。 
本来はあり得ない現象なのだ。 

物が腐ると言う事も無い。 
3年近く外に放置した林檎は今だ紅く妖しくツヤを保っている。 

ただ、カブが腐るだけなのだ。否、カブも一週間立てばああ言う風なる様に弄られているだけなのかもしれない。 

この村に時間の経過と言う概念は無いらしい。 

このまま私は身体が朽ち果てる事も無く、永遠にこの箱庭に閉じ込められるのだろうか。 

未来は、まだ暗い闇の中だ… 







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