「エフエフファイブ」 


ある日僕は不思議なことに気付いた。 
店のタヌキの親父が村の隅に立っていた。 
「何をしている?」 
と僕はたぬきの親父に話しかけた。 
すると・・・ 
「遅かったな!」 
!? 
一体何のことだ?こいつは何を言っている? 
「ファファファ・・・ついに手に入れたぞ!最強の力!世界を支配する力!『無』の力だっ!!」 
無?・・・なんだ?何が始まろうとしている? 
「邪魔な奴らを消し去ってやる!まずはお前の同居人だ!!『無』に飲み込まれ消えて行く様を見るがいい!!」 
すると、奴から黒いエネルギーが浮かび上がった。 
まさか・・・本当に同居人を?まさかこうして住人も消し去っていたのか? 
黒いエネルギーは僕の家のほうに向かっていったではないか! 
「やめろーーー!!」 
黒いエネルギーは僕の家を包み込み 

家ごと消えていってしまった。 
「ファファファ・・・お前達も『無』の中に消え去るがいい!!」 
すると今度は黒いエネルギーが僕に向かって飛んできた! 
「ぐ・・・ぐわあああああ・・・!!」 
僕は黒いエネルギーに包まれそのまま消えていった。



「立てっ!!」 声が聞こえ、僕はゆっくりと自分の体を起こした。 そこには宇宙空間が広がっていた。 そして僕の目の前に紛れも無く、僕の同居人の1人が立っていた。 しばらくして他の2人の同居人も僕の目の前に現れた。 初めて同居人の声を聞いたのだ。 「最強の三戦士! 登場!!同居人!俺らが『無』の力を押えている間に奴を倒すんだ!!闇の力より世界を救えるのは光の戦士!お前だけだ!行くぞっ!!」 ・・・何を言っているのだこいつらは? こいつらは僕の味方なのか? 僕にたぬきちを殺せといっているのか? 今日は訳がわからない日だ・・・。 気がつくと場所が村に戻っていた。 そこにはたぬきちがいた。 「なぜ無の力が消えるのだ!?えーいこれでも食らえっ!!」 たぬきちはまた黒いエネルギーを放った。 しかし、同居人がその黒いエネルギーを抑えた。 「さあ!今のうちに!たぬきちを!殺すのだ!!行け!!光の戦士達よ!!!」 どうやらこの村を救える者は・・・たぬきちを殺せる者は・・・ 僕しかいないようだ! 僕は斧を手に取り戦闘態勢をとった。 「たぬきち!いくぞっ!!!」
「くっ!」 僕は斧を握り、たぬきちの首に襲い掛かった! たぬきちは腕で防御した。 しかし・・・ たぬきちの腕は脆くとも切り裂かれた。 「ぐわあああああ!」 たぬきちは苦しそうにうめき声を上げた。 しかし・・・ たぬきちの腕だけが動き出し、またたぬきちにくっついたのだ! 「ぐ・・・くくく・・・これが『無』の力か!素晴しい!」 僕は驚愕していたがすぐにまたたぬきちに飛び掛った。 しかし、僕の斧はいとも簡単にかわされ、僕はパンチを受けてしまった! 「ぐあああ・・・!」 何だ・・・?このパンチの威力は・・・! 心臓が破裂しそうだ・・・! 「くくく・・・もう終わりか?あっけないな・・・」 たぬきちは僕に近づく・・・。 「これで終わりだァァァ!!」 たぬきちは強烈なパンチを繰り出す! しかし、僕はそのパンチをうまくかわしたぬきちに切りかかった! 「うおおおおお!!」 その時、たぬきちの首が宙を舞った。 「ハァハァ・・・今度こそ終わったか?」 しかし、たぬきちの首が動き出しまた首が戻ったのだ! だが、様子が違う。 『無』がたぬきちを飲み込んでゆく・・・? 「な ぜ だ!無の力を 手に入れたのに……無とは一体……うごごご!!」 その瞬間、僕の目の前は真っ白になった。 何だ?何が起こる? 奴は死んだのか・・・?
僕は真っ白な空間を見ていた。 そしてどこからか声が聞こえた。 「私はネオたぬきち。全ての記憶 全ての存在 全ての次元を消し、そして私も消えよう 永遠に!!」 !? 何だコイツは?魔王を名乗ろうとでも言うのか? その瞬間、目の前に現れたのは たぬきちとは遠く離れた化け物だった。 「う・・・なんだ・・・コイツは・・・?」 僕は斧を手に取った。 「行くぞ!」 その瞬間、数多の隕石が落下し爆発したのだ! 「ぐわああああああ!!」 これはもはや斧で勝てる相手ではない・・・ そう僕は思っていた。 僕はガックリと膝をついた・・・。 「どうした?もう終わりか?ならば死ぬがいい!」 また隕石が降ってきた! 僕は必死に回避しようとするが、逃げ切れる技ではなかった。 「うわあああああ!」 僕はその場に倒れこんでしまった。 僕は既に諦めかけていた。 しかし、消された住人 同居人のために僕は勝とうと決心していた。 「うおおおおお!」 僕は斧を持って切りかかった! 「馬鹿め!死ぬがいい!」 隕石が降り注ぐ! 何発もの隕石に当たるが、僕は倒れなかった。 仲間が僕を支えているような気がしたのだ。 「な・・・何故倒れん!?」 僕はネオたぬきちに近づく!そして! 「終わりだァ!たぬきちィィィ!!」 「くそっ!死ね!死ねェ!」 戦いは終わった・・・。 僕はたぬきちに・・・勝った・・・。 僕の心がたぬきちに勝ったのだ! ゴゴゴゴゴゴ・・・! たぬきちが消滅してゆく・・・。 「そ・・そんな・・・馬鹿・・・な・・・」 そしてついにたぬきちは消えたのだ。 気がつくと僕は村にいた。 しかし、いつもと違う風景が僕を待っていた。 あのどうぶつだった住人は元の人間に戻り、人間だったときの記憶を思い出していた。 そう、この村に平和が訪れたのだ。 〜END〜 ■TOP