「あ、あのっ、いつも仲良くしてくださって、ありがとうございます!」 血相変えて走ってきたと思ったら、いきなり何を言い出すんだコイツは。 俺がお前等と仲良くしているのは保身でしかない。 「こんなこと改まって言うのもなんですけど、あなたの顔を見たら急に言いたくなっちゃって…」 ついに、消される!! 俺は直感した。 言葉を交わすいとまもなく、現われては消えていった屋根裏の同居人…あいつらと同じ運命が まもなく俺にも降りかかる…! …しかし俺はこの日が来るのを待っていたような気もする。 永遠に続くかと思われる単調な日々。抜け出せない森の牢獄。 形はどうあれ、やっとここから開放されるのだ。悪くない。 俺は家に戻り、ベッドに横たわった。鍵は開けておいた。 いつも通り、苦も無く眠りが訪れる…
しかし再び俺は目覚めた。アイツの言った事は、ただの脅しだったのか? 玄関を開けると、ポストに俺に宛てた手紙が入っていた。 「むらでいちばん やさしくしてくれたのは、あなたです・・・いままで ありがとうございました あえてよかった ××より」 俺は慌てて奴の家に行った。 が、予想していた通り、昨日まで建っていたはずの家が跡形も無い。 消されるのはお前の方だったのか。 俺は俺を慕う者をまた1匹失った事、と、やはり永遠にこの牢獄で、 死ぬ事も出来ず生き続けなければいけない事に気づき、いつまでもその場に立ち尽くしていた。 ■TOP