僕は最近、友達が出来た。 扉を開けなければ行けない場所で、毎日会えるわけでもないけど、僕と同じニンゲンの容姿の友達。 今日僕は、初めて彼の村に招待された。胸をドキドキさせながら門の向こうを真っ直ぐ見つめて彼の村に足を踏み込む。 目に見える情景はなんだか新鮮に感じた。 僕の村とは多少似ているが、やはり違っている。 まず果物。僕の村には蜜柑しか実らない。しかし彼の村には林檎が艶やかな色を出して実っていた。 僕は彼に村の中を案内された。 彼の住む村の住人達。僕の村では見たことの無い動物が居た。ペンギンやアヒル、はたまた象なんてのも居る。 なんだかとても新鮮だった。瞳に映るもの全てが新しいものだった。 最後に彼は店に連れていってくれると言う。店の店員がどんな奴かとても興味があった。僕の村の狸とは違う動物なのかと思い込み、僕は彼の後を追い掛けた。 しかし、店の作りは僕の村の物とまったく同じだった。僕は驚愕した。 い、いや。僕の村には猫が二匹いるし、きっと違う顔をしているのだろう。 僕は自動ドアを開けた。 嘘だろ。 僕の目の前に居たのはあの狸そのものだった。 最初理解できなかった。僕の村と同じ狸だが、同じではない。 体が震えた。 彼に気付かれぬように、僕は博物館に連れて行ってもらうようにお願いした。 ……こいつも。 僕は飛び出して、服屋や役所の扉を開ける。 こいつも、こいつもこいつも! 普通の家に住んでいる奴以外はまったく僕の村と同じ。でも違う。僕は頭が可笑しくなりそうだった。 クローン?でも理由が見当たらない。 その時僕は、一つの事が脳裏によぎった。 僕達は飼われている。 一つ一つの箱庭でモルモットのように、選ばれている。 そ、そんな筈…。 僕はこの事を不思議そうな彼に…… →・言う。 ・黙っている。 ■TOP