僕はいつものように魚釣りをしていた。 たぬきちに魚とベルを交換してもらい、家に帰る途中、セルバンデスにであった。 彼は僕がこの奇妙な村に初めて来た時からすんでおり、 一番心の許せる友だった。 そんな彼に僕は声をかけた。すると、彼は言った。 「おまえはいつまで独り身なんだよ?おれも人のことは言えないけどな。 そろそろ家にもう一人いて欲しくなるよな。 お 互 い に さ 。 」 妙に語尾が強調されていると思いながらも、僕は気に留めず、 「独りの方が気楽でいいよ。」 と返した。そのとき、彼は少し傷ついたような顔をしたが、 僕はそのまま家に帰った。 数日後、釣った魚を彼におすそわけしようと、彼の家に向かったが、 あるべき場所にその家はなかった。 こうして僕は心許せる友人を失った。 ■TOP