――――― ざわり 。 


自分の中で、ナニかが生まれる。 

僕を見つけたホンマは、小走りに僕の方へと近寄ってくる。 
コナイデ。 
僕ではないナニかがそう言った。 
ボクノ ソバニ コナイデ。 
じっと僕を見ないで。どうして見るの? 
アンタの望み通りに保険にも加入したし、僕は入りたくなかったけれど反論もさせてくれなかったよね? 
僕が返事をすると嬉しそうにしてくれるけれど、どうしていつも目だけは笑っていないの? 
どうして僕の邪魔をするの? 
花に水をやっていても邪魔するし岩を叩いてお金を出しているのを邪魔したりもしたよね? 
どうして邪魔するの?作業中に顔を覗き込まれるのがどんなに邪魔か分かってやってるの? 
追い払っても少し離れるだけでどうして立ち去ってくれないの? 
邪険に扱っても文句も言わないで引き下がるクセして、どうしてじっと据わった眼で見つめるの? 
第一どこから来るのさ?どこかに帰るなら僕を連れて行ってよ。助けてよ。 
僕が騙されて贋作の名画を買わされた時も、アンタは平気で引き取ったよね? 
目の前に僕が居るのに、僕宛の手紙をわざわざポストに入れてさ。 
アンタが「はい、保険の100ベル」って手渡してくれれば済むでしょ?なのになんで? 

来ないでよ。 
コナイデ。 
僕の、ソバニ、来なイで。







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