あの建物が気になる。ギリシア神話に出てきそうな神殿風の建物だ。 以前あそこに立ち入った憶えはある。そう、僕と同じくらいの体長を持つ梟がいた建物だ。 あの時はそこに立ち入るなりその恐怖に立ち竦んででしまった事を僕は忘れない。 それと同時に、二階へと続く階段があった事を思い出した。 毎日この村を散策したが分からないことが多すぎる。 その答えを求めて未だ訪れた事のないあの建物の二階へ赴く事にしよう。 …よかった。幸いあの梟は眠っている様だ。 僕は二階へと向かった。 …梟だ。ここにも居る。下階に居る者よりも幾分小さい様に思えるが、 僕の身長と大差ない事に変わりはない。しかも起きている。 ここまでか、と思った僕にその梟は語った。 「天文台にようこそ!」 天文台?確かに望遠鏡らしき物がある。その天井はドーム型でプラネタリウムを思い出させる。 この村を探索している時に気づいていた。 夜空に浮かぶ星がとても綺麗だった事を。多くの星座があった事を。 僕は言われるがままに望遠鏡を覗いて見る事にした。 そうしなければならないと思ったからだ。 …やはりこの星空はいい。いやな事を忘れさせてくれる。 このままずっと見つめて居たい位だ。 星空を見つめ、我を忘れていた僕にその小柄な梟はこう言った。 「星座をつくりませんか?」 何を言っている?星座を創るだと? 僕が決めたからと言って皆に受け入れられる物ではあるまい。 …待て。確か下階の梟は眠っていた。そもそも梟は夜行性の物が多いからしかたないが。 僕はそれを期待して、敢えて昼間にここを訪れたはずだ。 ならば、今は昼間なのではないのか? であるならば、何故これ程までにはっきりと星を見る事ができるのだ? 今僕が見ている星空は現実なのか?虚構なのか? 何もかもがあやふやだ。助けてくれ。 ■TOP