何も代わらない日々。抗うことの出来ない日常。 …僕は、それにいつの間にか慣れていたのかもしれない。 ふと、真夜中に目が覚めた。 外からは幾人かの住人が動き回っている音がするが、もはやそれを不審に思う気持ちは消え失せていた。 そういえば、明朝6時にオーロラがこの家に来るとか言っていた。 彼女の言動に対してわずかばかりではあるが、僕は好意を抱いていた。 だから何気なしにOKを出し、適当に時間を指定していたのだが さすがに寝起きの姿では迎え入れたくなかった。 時計を合わせようと思い、枕元の電話機をとり「時計を合わせますか」のガイダンスに従い、時刻を修正する。 …寝ぼけた頭で、気付という方が無理かもしれない。…でも僕は気づくべきだった。 【自分の時計の方に時報を合わせた】と言う不可解な出来事に…… …翌朝、待てど暮らせどオーロラは来なかった。さすがに不審に思い外に出てみる。 そのとたん、ものすごい腐臭が鼻を突いた。 非常用に買い置きしていたカブがすべて腐っている!? 吐き気を催しそうなアリとハエのたかるそれから目を反らし、周りを見回す。 …… な ん だ こ れ は !? 一夜にして、手入れの行き届いていたはずの小綺麗な村は、雑草生い茂る荒村と化していた…… 唖然とする僕の足下に、ポストからあふれかえった手紙の一通が風にあおられて落ちてきた。 色褪せ、風化しかけたその手紙には、かすれたインクでこう書かれていた…… 「私が引っ越してから、もう6500日も経つんですね。その後お変わりありませんか?オーロラより」 ■TOP