夜中、何となく寝つけなくて村を散歩する事にした。辺りは妙に静まり返っている。 
この村の不可思議さに日々首を傾げつつも、さすがに命に危険の及ぶような 
出来事はあるまい。そんな事を考えつつ村を歩く。 

ふと何か物音がする。「時期の早いクツワムシでも鳴いているのか?」そう思ったとたん 
強烈な痛みが走る。そして体に何か注ぎこまれる感触と共に意識を失った・・・ 



「うぅ……」 目が覚めると、僕は床の上で寝ていた。 あの狸の店主に有り金をかっさらわれたので布団を買う余裕すらないからだ。 それはともかく、何故僕は家に?さっきまで…。 さっきまで、僕は何処にいた? 思い出そうとすればする程、あやふやに、霧がかかったかのようにぼやけていく。 一体何があったのだろう? ■TOP