僕は今日も手掛かりを探す… 
すると向こうからサムという奴が頭に何かを光らせこちらに走ってくるのが見えた。
いつもあの奇妙な姿は、精神的に参っていた僕を苛立たせる。 
関わるまいと急ぎ足でその場を離れるが、何故か奴は追ってくる 

その必死さに、ただならぬものを感じだ僕は恐る恐る振り返ると、そいつは悲しげに微笑みながら僕を見ていた。 

「…これ だいじなもの おめぇに…」 
瞬間風が舞い、よく聞きとれなかったが、奴は僕に何かを渡すとその場からいなくなっていた。 



奴から渡された物…それは一枚の写真。 その写真に何か深い意味があるような気がしてならなかったが、どうしても奴に話しかけるのをためらってしまう。 でも何かある…それだけは分った。 数日後、意を決して奴の家に行ってみると…あの悍ましい光景が目の前に広がっていた。 昨日まであった家がまた消えていたのだ… 僕は走った。走って走って…叫びは声に出来ず、流すことの許されない涙を飲み込んで。 …あの日聞けば良かったのだ。 僕の、彼に対しての汚い感情のせいで、なにかを伝えようとしていたのに… 何も聞けないまま また一人村から消えてしまったのだ。 終わらない恐怖。真実など何処にも見えない 夜はただ静かに、眠ることだけが許された… ■TOP