この森は・・・おかしいにも程がある・・・ 
家ごと消される住人・・・ 
消える木と切り株・・・ 
未だ釣れるシーラカンス・・・ 
消える・・・記憶・・・ 
誰かもわからない「同居人」・・・ 
謎の電話機・・・ 
蠍の存在・・・ 
空を翔るUFO・・・ 
固まる顔・・・ 
海を渡るラッコ・・・ 
捨て子の・・・頭・・・ 

そのすべての記憶が僕の頭をよぎっていた・・・ 
今日は外に出て散歩に出かけた 
「みなさーん!どんぐりまつりですよー!」 
!?なんだ・・・? 
どんぐりまつり?そんなのは聞いたことがない 
そもそもこの村でどんぐりを見かけることすらない 
しかし、そこには「ある」のだ・・・ 
わずか1日でどんぐりはできるのか? 
僕はその1つのどんぐりを手に取った・・・ 
役場の前に見知らぬ1人の男が立っていた・・・ 
彼の名はドンどんぐり 
どんぐりを集めているらしい 
僕はさっき手に入れたどんぐりを渡した 
「ふぇふぇふぇ!あと4つどんぐりをくれればいいものをやるんじゃがのう」 
・・・なるほど、どんぐりの数に応じて褒美がもらえるのか 
もしかするとこの村からの脱出の許可をもらえるかもしれない! 
僕はこのどんぐり祭りにすべてをかけることにした 



どんぐりまつりとは、この村にとっては重要な事らしい。 きのうまで化石!化石!と騒いでいたリス(のような生き物)も、 誰も彼もが、出会うとどんぐりの話しかしない。 何人かと話をするうちに、ようやくどんぐり祭りの全容が おぼろげながらわかってきた。 知らなくても良かったような話だったけど。 知らないでも生きていけるような事だったよ。 知らない方が幸せだった事ってないかい? やつらに話しかけたり話しかけられたりしたときに、どこから ともなく音楽が流れてくるんだ。それが役場の前ならば、 広報用のスピーカーからではないかと理解できる。 でも、浜辺でも森の中でも場所や時間を厭わずに、あの音楽が 流れてくる。僕は、その度に周囲を見回したんだ。どこかに スピーカーでもあるのかな?と思って。 でもどこにも、そんなものなどありはしない。 どんぐりを拾いながら、頭の中に一つの仮説が頭をもたげてきた。 あいつら、・・・・もしかして、ロボット?
どんぐりを集め始めてかれこれ4日程たっただろうか。 どう見ても村長を名乗っていた亀だが、いまはドンドングリらしい。 まぁそれはいい。今更不審に思った所でどうなるものではない。 彼にどんぐりを渡し続けているが一向にこの村から逃れる事はできない。 この祭りは今週いっぱいらしいが終わるまでにこの村から逃れる為の何かを得られるのだろうか? これまで得られた物は確かに貴重な物であるのかもしれないが、 今私が欲している物ではない。私が欲しているのはここから逃れる術だ。 とは言え、貰える物は貰ってしまう自分の浅ましさにはあきれてしまう。 現実を忘れどんぐりを集め続けたが、ふと我に返ってみるとやはり信じがたいことが多い。 そもそもこのどんぐりはどこから現れた? 「わしの神通力じゃよ」などという話を聞いた気がするが、到底信じられるものではない。 しかし、どんぐりが急に目の前に現れた事は事実だ。 後2日。いや、3日か?このままどんぐりを集め続けよう。 これから先、何が待っているのかはわからないが。 ■TOP