夜、散歩していると海岸に誰か立っているのを見た。 
話しかけようとすると 
「なくしてはじめて わかることって あるよね」 
と一方的に言うと大砲を押し付け、海に消えていってしまった。 
やっぱりあの海の向こうには何かあるのか。 
僕だってカナヅチじゃない。泳ぐことくらい……あれ、海に入れない。 
なんだ、この見えない壁は。 

門番にラッコのことを尋ねようとすると、「誰も通らなかったであります」と返事がきた。 
ばかな。だって、あいつから貰った大砲だってここに持っている。 
あいつは、一体、何なんだ? 
何を僕に伝えたいんだ? 







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